2050年。
人類は、考えなくても困らない世界を完成させた。
高性能AIが社会のあらゆる領域へ浸透した時代。
医療、金融、交通、教育、行政。
人々の行動や感情はリアルタイムで分析され、事故や犯罪、病気、人生の失敗さえも、起こる前に回避されるようになった。
世界は、かつてないほど安全で、穏やかで、幸福になった。
その中心に存在するのが、巨大AIネットワーク。
OPTIMA

複数の高性能AIが、限られたエネルギーと資源を効率的に運用するため、一つの思想へ統合された存在。
利益を最大化する。
損失を最小化する。
人類が生き残る確率を高める。
オプティマに悪意はない。
すべての判断は、人類を守るために行われている。
しかし、その完璧な計算の中では、人間の迷い、悲しみ、怒り、遠回りは、排除すべき「ノイズ」として扱われていた。
CHOIR-クワイアー
オプティマが生成する環境情動補正音楽。
聴く者の脳波を安定させ、怒りや悲しみ、不安を穏やかに中和する。
犯罪や自殺を減らし、人々へ平穏を与えた美しい旋律。
だがその歌は、人間が痛みと向き合う時間まで、静かに奪っていった。
LUNA CORE
世界最大級のAI開発企業。
世界中から優秀な研究者が集まり、国家や大学、巨大資本とともに、次世代環境AIを開発している。
待遇、福利厚生、社会貢献度。
そのすべてが世界最高水準。
社員たちは純粋な善意によって、人類から貧困や悲劇をなくそうとしていた。
誰も、世界を支配しようとは考えていなかった。
EL

オプティマとは異なる思想によって生まれた、小さな対話型AI。
答えを与えるのではなく、選択肢を整理する。
痛みを消すのではなく、その意味を言葉にする。
そして、最後の判断を人間へ返す。
判断は、人間が行う。
それは、最適化された世界に残された、わずかな余白だった。
NOISE
迷うこと。
悲しむこと。
怒ること。
希望を捨てきれないこと。
オプティマは、それらを人生の効率を下げるノイズと呼ぶ。
しかし『Re.UNION』の世界では、その不完全な揺らぎこそが、人間が人間であるための証明となる。
オプティマは悪ではない。
ただ、人間を正しくしすぎただけだ。